オフィスに仮眠室を設けるのは業務によって限られていると思われがちですが、現在”パワーナップ”という考え方が増えたことにより、様々な企業で仮眠室または仮眠スペースを設ける計画が立てられているのです。 パワーナップ制度は従業員の心身の健康維持、企業の繁栄を目的とした新しいワークスタイルのひとつとして認知され始め、今後更に普及されることが予想されています。 本記事では、パワーナップ制度の概要をはじめ、導入されるようになった背景や導入後の効果について解説しています。 初めて聞いたという方、なんとなく想像はできても具体的には知らないよという方は、是非この機会にご一読ください。
近年、某大手企業を筆頭に相次いで「パワーナップ」という制度が取り入れられているのはご存知でしょうか。
会社内に仮眠室を設ける背景には、このパワーナップ制度が深く関係しています。
パワーナップとは、12時頃から15時頃までの間に挟む15~20分程度の「仮眠」を指します。
力をつける意味の「power up(power up)」と昼寝やうたた寝を意味する「nap(ナップ)」を掛け合わせた造語で、社会心理学者のジェームス・マースが提唱した睡眠法のひとつです。
様々な研究結果から日中に短時間の仮眠をとることで、後のパフォーマンス向上に繋がることが証明されており、スペイン周辺諸国の文化である「シエスタ」が起源ともされています。
オフィスに仮眠室があれば、従業員は必要に応じてパワーナップを行うことができます。
昼食後の血糖値の上昇による眠気を我慢したまま業務に取り組むよりも、短時間の仮眠で集中力を高めた方が業務効率が向上すると言えるでしょう。
このような考えから、海外では多くの企業が会社内に仮眠室を設け、パワーナップ制度を取り入れています。
また、日本でも大企業を中心に徐々にオフィスでの仮眠文化が浸透しつつあります。
多くの企業で採用されつつある仮眠室ですが、実際に設置した場合はどういったメリットがあるのか、代表的なメリットを4つ紹介していきます。
・仮眠に集中できる
英気を養うために仮眠しようと思っても、オフィスの様な雑多な空間ではリラックスできないという方も多く、周りで業務している人がいれば仮眠するのに気が引けるでしょう。
仮眠室を設けることで周囲の視線を気にすることなくリラックスでき、会社の制度として積極的に取り入れる従業員も増えるでしょう。
・従業員の健康維持につながる
業務が立て込んだタイミングで長時間労働や休日出勤をしてしまった時は、十分な睡眠時間を確保できず心身共に疲労が蓄積されているという従業員も中にはいるでしょう。
オフィスに仮眠室があれば業務の合間に仮眠が取れるため、疲労の蓄積を軽減することができます。
・効率的に休憩できる
NASAの研究では、昼に26分間の仮眠をすることで認知能力が34%、注意力は54%も向上するという結果がでました。
特に睡眠負債が蓄積されている人に有効的に作用するため、不眠大国と称される日本では、より多くの効果をもたらすでしょう。
・会社のイメージアップ
仮眠室が設置されているだけで、社員を大切に扱う企業だということが予想され、新しい人材を採用しやすく人材の定着率も向上します。
また、取引先からも健康的で先進的なイメージを抱いてもらうことができ、安心して仕事を任せてもらいやすいです。
会社に仮眠室を設けることで発生するメリットはどれも業務効率向上させるものである一方、注意しなくてはいけない点もあります。
会社内に仮眠室を設ける目的は、従業員の健康維持と業務の効率化ですが、導入の仕方次第では悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
※タイムマネジメントが難しい
仮眠時間は最長でも30分未満が望ましく、長時間の睡眠による深い眠りを避けるべきとされています。
しかし、仮眠室には気軽に睡眠を取れる環境が整えられているため、つい寝すぎてしまったことから目覚めが悪くなり、集中力が低下してしまう可能性があります。
そのため、仮眠に集中できる環境と同時に長時間の睡眠を避けるための工夫を凝らす必要があります。
※仮眠の必要性には個人差がある
いくら仮眠が有効的とはいえ、もちろん中には仮眠を必要としない従業員もいます。
仮眠室の導入は会社内でも需要が分かれる可能性があり、仮眠を必要としない従業員からは仮眠をただのサボリと思われてしまうかもしれません。
そのため、仮眠室の導入には会社内の傾向や仮眠室を利用する際のルールをあらかじめしっかり確認する必要があります。
これらの課題をクリアにするための手段は多岐にわたりますが、状況に応じた対応が最も大切です。
仮眠室を設ける際はオフィスの利用状況を正確に判断できる経験豊富な業者へ相談するといいでしょう。
仮眠室を設置する際には、スペース、設備、運用ルール、衛生管理などの点に注意する必要があります。近年では、様々なタイプの仮眠室が販売されており、大きく分けて3つの種類があります。
オフィスに仮眠室を設ける際には、費用やスペースの観点から簡易型仮眠室が実現しやすくなっております。
お金やスペースに余裕がある場合には、多機能型仮眠室を検討しても良いかもしれません。
オフィスで仮眠室を使用すると「日中に眠ってしまったら睡眠リズムが崩れて睡眠障害を引き起こさないか?」という不安の声をよく耳にしますが、結論から言うとその逆です。
日中に仮眠を取るからこそ睡眠の質が高まり、入眠と覚醒をスムーズに行うことができるようになります。
例えば、昼食後についウトウトしてしまったという体験は誰しもあるのではないでしょうか。
主に昼食後の血糖値上昇が原因と思われていますが、それだけではなく人体の生体リズムも大きく係わっているのです。
本来、人は午前2時〜4時頃と、午後2時〜4時頃に眠気のピークがくるよう体内時計が設定されています。
したがってパワーナップは生理学的にも理にかなっている制度になり、むしろ睡眠の質を向上させる効果もあります。
いかがでしたでしょうか。
これまでは業務上で特別な理由がない限り、オフィスに仮眠室を設けるのは稀なことで情報も少なく、いくら仮眠が効果的という認識を持っていても実際に仮眠環境を備えるハードルは高いでしょう。
また、多くの職場では効率を意識して休憩を取らせるより、世間一般の常識を目安に休憩のルールを定めているのが実態ではないでしょうか。
しかし、世間一般に浸透している常識は、良くも悪くも過去から引き継いできたものです。必ずしも全ての企業にとって最適なものではありません。
弊社では、オフィスの環境作りのご相談やお手伝いを承っております。
少しでも気になったり、「自分達にはこの制度が向いているかもしれない」「従業員の作業効率や満足度を上げたい」と感じた際は、お気軽にお問い合わせください。
専属の担当者が最後までご満足いただけるようサポートいたします。