LGSという言葉を聞いたことはありますか? LGSとは、内装工事を行う際、壁や天井の下地となる材料です。 新たに内装工事をご検討されている方や、LGSってなんだろう?と疑問をお持ちの方向けに、メリットやデメリット、施工方法まで詳しく解説します!
LGSとは、”Light Gauge Steel”(軽量鉄骨)の略で、内装工事において壁、天井の下地材として利用される鉄骨材のことです。
主に商業施設やオフィスビル、住宅などで内装下地に多用されており、軽量で扱いやすいことから人気を集めています。
LGSは、木材やコンクリート材とは異なり、精密な加工が可能で寸法の安定性が高いことから、設計段階から内装工事の効率を上げることができるのが特徴です。
表面にはクロス(壁紙)を貼ることが多いため、もともとある壁との違いがほとんどないように見えます。
間仕切り壁の下地として使われるときにはLGSではなくスタッドと呼ばれることもあります。
LGS(軽量鉄骨)は、その名の通り非常に軽量でありながら、高い耐久性を兼ね備えた建材です。
この「軽さ」と「強さ」の両立こそが、LGSが多くの内装工事や建築現場で採用されている最大の理由の一つです。
具体的には、LGSは薄く加工された鋼材を使用しており、従来の木材や重量鉄骨に比べてはるかに軽いため、搬入・運搬時の労力が大きく軽減され、施工の効率が向上します。
一方で、鋼材としてのしっかりとした強度を持ち合わせているため、躯体や壁下地としての安定性・信頼性も高く、長期にわたって形状を保つことができます。
さらに、LGSは加工性に優れているため、現場での寸法調整や複雑な設計にも柔軟に対応できる点も特筆すべき利点です。
設計図通りに正確に組み上げることが可能で、精度の高い施工が求められるオフィスや商業施設などでも重宝されています。
加えて、防火性に優れていることも大きなポイントです。鋼材であるため燃えにくく、万が一の火災時にも延焼リスクを低減することができます。
このような特性から、LGSは内装の下地材としてだけでなく、防火安全性を求められる空間でも積極的に採用されています。
日本は世界有数の地震多発地域であり、建物の耐震性は常に重要な設計要素です。
そのような背景の中、LGSは内装工事においても耐震性・安全性の向上に大きく貢献する素材として注目されています。
まず、LGSの「軽量」という特性は、地震時の建物全体への負荷を大きく軽減する効果があり、構造体や内装下地が重い場合、地震による揺れで生じる慣性力も大きくなり、壁や天井にかかる力が増加しますが、LGSを用いることでこれを抑制できるため、損傷や破損のリスクを低減できます。
加えて、LGSは軽いだけでなく、フレームとしての剛性(硬さと粘り強さ)も兼ね備えており、組み上げた構造はしっかりと安定しています。
そのため、地震による揺れが発生しても、内装材が大きく変形したり崩れたりすることなく、固定された状態を保ちやすいのが特徴です。
これにより、落下事故などの二次被害を防ぎ、建物内の安全性を高めることができます。
このように、LGSは施工性・耐久性・防火性に加えて、耐震性にも優れた総合力の高い建材として、現代の建築・内装工事において幅広く活用されています。
内装材にLGSを使用するメリットをもう少し具体的に4つご紹介します。
1. 軽量で強度が高い
LGSは、非常に軽量でありながら鉄の強度を持っています。
耐久性を保ちつつも建物にかかる負担を減らせるため、特に重量制限がある内装の仕上げや改修工事に適した材料です。
軽量なため取り扱いやすく現場での作業効率も向上し、施工のスピードアップにもつながります。
2. 防火性に優れている
LGSは鉄材のため、燃えにくく火に強い性質を持っています。
内装の下地材として防火性能が求められる場所では、火に弱い木材よりもLGSが優先して使用されることが多いです。
商業施設やオフィスビル、公共施設などでは防火性能が非常に重要視されるため、有事の際の安心感を提供できる素材として特に重宝されています。
3. 寸法の安定性と加工の精度が高い
LGSは金属であり、材質の均一性が保たれているため、温度や湿度による変形が少なく、寸法の精度が高いです。
このため、工場などで精密に加工した部材をそのまま現場で組み立てることができ、効率良く施工を進めることが可能です。
寸法が安定しているため、内装の仕上がりも美しく保てるというメリットもあります。
4. 環境への配慮とリサイクル性
LGSに使用される鋼材はリサイクルが可能であり、使用後も再利用しやすい点が特徴です。
また、LGSは必要な部材だけを正確にカットすることで材料の無駄が少なくなり、エネルギー効率も高められます。
昨今、持続可能性への対応が求められる建設業界においての重要な役割を担っています。
沢山のメリットがある一方で、デメリットもあります。
1. 断熱性が低い
LGSは金属であるため、断熱性が低く、温度変化に弱いという欠点があり、特に寒冷地や外壁に近い場所での使用時には断熱材の追加が必要です。
LGSのみでは冷暖房効率が低くなるため、適切な断熱対策を取らなければ、居住空間の快適性が損なわれることがあります。
2. 防音性が低い
LGSは金属製で音を伝えやすく、防音性に欠ける場合があります。
特に薄い壁や天井に使用すると、隣のテナントや上の階からの音が響きやすくなる可能性があるため、静かな環境が求められる部屋には、LGSの上に吸音材を入れたり、遮音シートを貼ったりする必要があります。
3. 錆びやすい
LGSは鉄材のため、湿気が多い環境では錆が発生しやすい点が課題です。
防錆処理を施したり、防湿対策を行ったりなどの対応は可能ですが、長期間湿気に晒されると錆びて劣化が進むリスクがあります。
そのため、特に湿気の多い場所や水まわりでは、防錆加工や防湿シートの追加が必要となります。
4. 電気や配管の取り扱いが難しい
LGSの内部には電気配線や配管を通すスペースがありますが限られており、事前に配線、配管の計画をしっかりと立てる必要があります。
また、金属製のフレームに配線を通す場合はショートや接地の問題が発生する可能性があるため、配線の取り回しには注意が必要です。
特に、LGSの設置後に配管や配線の変更を行う場合、一度解体が必要となるなど手間やコストがかかることがあります。
LGS(Light Gauge Steel:軽量鉄骨)工法を用いてオフィスの間仕切りを行う際には、以下のような注意点があります。
施工のしやすさやコストパフォーマンスに優れた方法ではありますが、計画段階での配慮が重要です。
・レイアウト変更の柔軟性に制限がある
LGSは比較的しっかりとした構造となるため、頻繁なレイアウト変更が見込まれる空間には不向きです。
可動式パーティションなどとの比較検討も重要です。
・音漏れ・遮音対策が必要
LGSの骨組み+石膏ボードのみでは遮音性能が十分でない場合があります。
断熱材や遮音シートの併用を検討しましょう。
・建物の躯体との取り合いを確認
床・壁・天井の構造や素材によっては、アンカー固定が難しい場合があります。
躯体への影響や制限を事前に確認し、必要に応じて設計変更を行います。
・電気・空調設備との調整
コンセントやスイッチ、空調ダクトなどの位置と干渉しないように設備業者との連携が不可欠です。
LGS内部に配線を通す計画も可能ですが、設計段階での明確な指定が必要です。
・防火性能の確認
使用するボード材によって防火区画としての性能に差が出るため、ビル管理規約や法令に従った材料選定が重要です。
・工期と騒音への配慮
軽量とはいえ、石膏ボードの切断・ビス留め時に騒音が発生します。
稼働中のオフィスでの施工時には、作業時間帯の調整や防音対策を検討しましょう。
LGS工法はコスト面や施工の早さに優れる一方で、事前の設計・調整次第で使いやすさが大きく変わります
。
内装業者と密に連携し、将来的な運用も見越したプランニングを心がけましょう。
実際に施工する際、どのような手順を踏めばいいのでしょうか?
以下に記載いたしますので、施工をご検討されている方のご参考になれば幸いです。
1. 設計・計画
最初に、施工計画と設計図の作成です。
LGS工法は寸法の正確さが求められるため、建築士やデザイナーが寸法や構造を詳細に計画します。
この段階で、壁や天井の位置、配線や配管の配置や強度など、あらゆる要素を考慮します。
2. 部材の調達とプレカット
設計図に基づいて、必要なLGS部材を工場で製作・加工します。
LGS工法はプレカットされた部材を使用することが多く、精密な寸法で事前にカットや穴あけが行われます。
このプレカットにより現場での加工が最小限となるため作業効率が向上し、現場での誤差やトラブルが発生しにくく施工の精度を上げることが可能です。
3. 現場準備
現場に部材が搬入された後、工事の準備を行います。
施工を行うエリアの清掃や、既存の内装や設備の撤去が行われます。特に、壁や天井の位置を正確に設置するために行う墨出し(測定)作業が重要です。
墨出しでは、設計図に基づいて壁や天井の位置を現場にマーキングします。
4. LGSフレームの組み立て
いよいよ、LGSフレームの組み立て作業です。
墨出しに沿って、まず床や天井に固定するための「ランナー」と呼ばれる水平材を取り付けます。
続いて、壁の骨組みとなる「スタッド」と呼ばれる垂直材をランナーに差し込み、ビスや専用の接合部材を使って固定していきます。
この段階では、建物の垂直水平がしっかり確保されるように慎重に組み立てを進めることが重要です。
5. 配線・配管工事
LGSフレームの設置が完了した後、電気配線や配管工事を行います。
LGSにはあらかじめ穴が開けられていることが多いため、必要な場所にケーブルや配管を通します。
特に電気配線は、ショートを防ぐために樹脂カバーや配線チューブを使い、金属部分と接触しないような工夫が必要です。
ここで配線や配管のチェックも行い、後でトラブルが発生しないように慎重に施工します。
6. 下地材の取り付け
LGSフレームの骨組みが完成し、配線や配管工事まで完了したら、石膏ボードなどの下地材をフレームに取り付けます。
石膏ボードは防火性や防音性が高く、壁や天井の仕上げ材として使用されることが多い素材です。
下地材をビスで固定していき、壁や天井の構造をさらに強固にします。
このとき、ビスの間隔や位置を均一にすることで、仕上がりが美しくなります。
7. 仕上げ工事(仕上げ材の取り付け)
下地材の取り付け後、塗装やクロス(壁紙)貼りなどの仕上げ作業を行います。
LGS工法のフレームにより内装の骨組みが完成しているため、デザインや仕上げ材の種類は好みに合わせて幅広く選択することが可能です。
内装デザインに合わせて壁紙を貼ったり、塗装を施したりして仕上げを行い、内装を作り上げます。
8. 最終確認と調整
仕上げが完了したら、最終確認を行います。
壁や天井にズレがないか、接合部がしっかりと固定されているかなどを点検します。
また、配線や配管の動作確認、漏電や水漏れがないことを確認し、問題があれば調整・修正を行い、最終的なチェックを経て工事完了です。
LGS技術は進化を続けており、新しい部材や工法の開発も進んでいます。
たとえば、耐久性を高めるための防錆加工技術の改良や、今よりも軽量で強度のある新素材の開発も進められています。
また、建物のエネルギー効率を高める断熱性の向上や、施工の自動化技術も注目されるところです。
将来的には3Dプリンター技術やAIを活用した自動設計が取り入れられることで、LGS工法のさらなる発展が期待されています。
LGSは内装材としてますます普及しており、耐久性・安全性・デザイン性を兼ね備えた優れた素材として多くの現場で活用されています。
この記事では、LGSの基本的な特徴や用途から、メリットとデメリット、施工方法、そして今後の展望についても解説しました。
加工を施したり部材を追加したり、という一手間でデメリットを軽減することも可能です。
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