オフィスを新しく構える際は、設備や内装、契約条件など多くの要素を考慮する必要があります。 しかし、すぐに業務を開始できる環境が整った「セットアップオフィス」は、企業の新たなスタートをスムーズにする革新的なオフィスです。本コラムでは、セットアップオフィスとは何かを解説するとともに、セットアップオフィスの利用をお考えの方に向けて、特徴やメリット・デメリット、さらに選ぶ際のポイントについて詳しくご紹介します。本記事を読めば、自社に最適なオフィスの形が見えてくるはずです。
「セットアップオフィス」とは、必要な家具や設備、インフラがあらかじめ整備されており、入居するだけですぐに業務を開始できるオフィスのことです。
一般的に、デスクや椅子、インターネット、会議室、キッチンスペースなど、業務に必要な基本的な設備が整えられています。
また、多くのセットアップオフィスでは清掃やセキュリティ、インフラ管理などの運営サポートも提供されています。
これにより、新規でオフィスを開設する際に必要な初期投資や準備の手間を大幅に削減できるため、企業にとっての新しい選択肢となっているのです。
セットアップオフィスは、その他のオフィスタイプといくつかの点で異なります。主に比較されるのは以下の3つです。
1.従来型オフィス
従来型オフィスは、ビルの1フロアや一部を間借りし、自分たちで内装工事を手配し家具を準備するスタイルです。
自由度が高い一方で、入居前にコストと時間をかけて綿密に準備を行う必要があります。
セットアップオフィスはこれとは対照的に、入居後すぐに業務を開始できる点が大きな特徴です。
2.シェアオフィス・コワーキングスペース
シェアオフィスやコワーキングスペースは、複数の企業や個人が同じ空間を共有する形式です。
セットアップオフィスと同様に設備が整っていますが、専有空間ではない場所が多いため、プライバシーやブランディングに制約があります。
セットアップオフィスは専有スペースを持つため、他者の目を気にせず業務を進められるのがメリットです。
3.レンタルオフィス
レンタルオフィスは、短期利用を想定した小規模なオフィスで、家具やインフラが揃っている点ではセットアップオフィスと似ています。
ただし、レンタルオフィスは一般的に規模が小さく、大企業や成長中の中小企業には対応しきれない場合があります。
セットアップオフィスは広いスペースを確保できる場合が多く、中長期的な利用にも適しています。
セットアップオフィスを選ぶメリットには下記のようなものがあります。
・初期投資の削減
家具の購入や内装工事、インターネット回線の敷設などにかかる費用や手間を大幅に削減できるため、予算が限られている企業やスタートアップにとっては特に大きなメリットとなります。
・即時利用可能
契約後すぐに業務を開始できるため、時間的なロスはほとんどありません。
特に、新規事業の立ち上げや短期間でのオフィス移転を検討している場合に適しています。
・運営のサポートが充実
清掃、セキュリティ、設備の維持管理などの運営サポートが含まれていることが多く、企業側がこれらを外部委託する手間や業者を選定する手間が省けます。
・柔軟な契約期間
セットアップオフィスの多くは、柔軟な契約期間を提供しており、従来型オフィスのように長期契約が求められるケースは少ないです。将来の事業計画に合わせた柔軟な選択が可能です。
様々なメリットがあるセットアップオフィスですが、デメリットもいくつかあります。
・自由度の制限
内装やレイアウトの変更が制限される場合が多く、企業独自のブランドやカルチャーを反映しにくい点があります。
オフィス空間を社風や用途に合わせてデザインしたい企業には不向きです。
・ランニングコストの高さ
セットアップオフィスは初期費用が抑えられる一方で、賃料にすべてのサービスが包括されているため、従来型のオフィスよりもランニングコストが高い場合があります。
・規模の制限
セットアップオフィスは、中小規模のスペースに適している場合が多く、大企業が利用するには不十分なことがあります。
セットアップオフィスを選ぶ際にはいくつか、おさえておきたいポイントがあります。
1.立地条件
セットアップオフィスを選ぶ際には、オフィスの所在地が従業員や取引先にとって便利であるかどうかを重視する必要があります。
たとえば、主要な駅やバス停から徒歩圏内にある場所は、通勤時間の短縮につながり、従業員の働きやすさを向上させます。
また、取引先との商談やミーティングが頻繁に行われる企業にとっては、アクセスの良い場所を選ぶことでスムーズに業務を進行することが可能です。
2.提供される設備やサービス
セットアップオフィスは「すぐに使える」点がメリットですが、提供される設備やサービスの内容が利用目的に合っているかどうかを事前に確認することが大切です。
具体的には、以下のような設備やサービスをチェックしましょう。
会議室の数や規模:社内外での打ち合わせが多い場合、十分な数とスペースの会議室があるかを確認します。
フォンブース:電話やオンライン会議をプライバシーを確保しながら行えるブースがあると便利です。
キッチンスペースや休憩室:従業員のリフレッシュの場として利用できるスペースは、快適な労働環境に寄与します。
インターネット環境:ネット環境は業務効率を大きく左右するため、信頼性の高いインターネット環境が整っているかも重要です。
3. 契約条件
契約に関する条件も、慎重に検討する必要があります。特に以下のポイントをチェックしましょう。
契約期間の柔軟性:従来型オフィスでは長期契約が一般的ですが、セットアップオフィスでは短期契約が可能な場合もあります。事業計画に合わせた契約期間が選べるかを確認しましょう。
更新条件や解約手続き:契約の更新や解約に関する条件が柔軟であるかも重要です。解約時のペナルティや手続きの複雑さは、予想外の負担になる可能性があります。
コストの透明性:セットアップオフィスは、賃料に多くのサービスが含まれるため、月額費用が従来型オフィスより高く見える傾向にあります。
しかし、内訳が明確で、追加費用が発生しないことが保証されていれば、むしろコストパフォーマンスが良い場合もあります。長期的な費用をシミュレーションし、納得できる条件かを判断しましょう。
4. 拡張性
事業の成長や新規プロジェクトの立ち上げによって、従業員数が増加する可能性があります。
その際、現在のオフィスが拡張可能かどうかは非常に重要です。
スペースの余裕:セットアップオフィス内で隣接するスペースを追加契約できるかを確認します。
移転オプション:同じ運営会社が別の拠点を提供している場合、契約を引き継いで移転が可能なこともあります。これにより、手間をかけずに大きなスペースへの移動が可能です。
将来的な需要への対応力:自社の事業展開やプロジェクトの見通しに応じて、拡張性の高い選択肢を選ぶことが重要です。
セットアップオフィスがお勧めの企業は、下記のような規模や形態のオフィスです。
1.スタートアップやベンチャー企業
起業直後や事業拡大の初期段階では、多額の資金をオフィスの内装や設備に投資することは難しい場合が多いです。
セットアップオフィスは、机や椅子、通信インフラが整備されており、すぐに業務を開始できるため、資金をより事業の成長に集中させることができます。
また、事業規模の変化にも柔軟に対応できる契約形態を採用している場合が多く、拡大・縮小のいずれにも対応可能な環境を提供してくれます。
・短期間のプロジェクトチーム
新規プロジェクトのために短期的な集中作業が必要な場合、セットアップオフィスの「即時利用可能」という特性が役立ちます。
必要な設備をすぐに利用できる環境に入ることで、チームの効率的な業務遂行が可能になります。
プロジェクト終了後に簡単に契約が終了できるオフィスを選ぶことがポイントです。
・海外から日本市場に進出する企業
海外企業にとって、日本でのオフィス向け物件探しはハードルが高い場合があります。
セットアップオフィスは、設備や運営サポートがすべてパッケージ化されているため、現地の市場や文化に不慣れでも、特別な準備なしに業務を開始できる点が魅力です。
多言語対応のサービスを提供しているオフィスもあるため、外国人スタッフが多い企業にとっても快適な環境が整っています。
セットアップオフィスは、利便性や効率性を求める企業にとって魅力的な選択肢です。
特に、スタートアップや短期プロジェクトチームには最適なソリューションとなります。
しかし、自由度が低く、自社の独自性を反映させた空間作りが難しいという点には注意が必要です。
もし、オフィスを企業カルチャーの象徴と考え、自由なレイアウトやデザインを追求したい場合は、セットアップオフィスはおすすめできません。
その場合は、従来型オフィスや、内装のカスタマイズが可能な選択肢を検討することをお勧めします。