2023.05.08 2024.05.24 更新
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フリーアドレスが増えている!?自席を持たない働き方の実態を解説!

フリーアドレスが増えている!?自席を持たない働き方の実態を解説!

ここ数年、様々な場面でよく耳にするようになった「フリーアドレス」という働き方。 アメリカの約70%ほどの企業が採用しているオフィススタイルですが、実は日本が発祥なのはご存知でしょうか。 1980年代後半~1990年代にかけて、日本の大企業を中心にフリーアドレスの導入が始まりましたが、当時のIT技術がまだ未熟だったため、業務効率の低下やセキュリティへの不安から定着するまでには至りませんでした。 しかし、ここ数年で企業におけるフリーアドレスの採用率は年々増加しています。 なぜ今になって再び「フリーアドレス」が注目されるようになったのか、その背景について解説します。

 

 

【オフィスのフリーアドレスとは?】

フリーアドレスとは「free address」つまり「自由な所在」という和製英語からきており、『決まった席がないオフィス』を意味します。

従来のオフィスのように一人一台の”自席”という概念をなくし、業務内容や状況に応じて働く場所を自由に選択することが出来るオフィススタイルです。

一般的には、フリーアドレスデスクと呼ばれる大型テーブルなどを設置し、複数人で共有するスタイルをとるため、いくつかのメリットが発生します。

【フリーアドレスのメリットから見る導入の目的】

フリーアドレス制の導入で期待されるメリットは、主に2つあります。

《スペースの有効活用》

従来の自席を設けるスタイルだと、テレワークや外回りなどで在席率が低くなればなるほどスペースの無駄が多くなってしまう一方、固定席を設けないフリーアドレスは、在席率に応じた席数を用意することにより、限られたオフィススペースを有効に活用することができます。

無駄なスペースを無くすことで、オフィスを縮小したり、空いたスペースを活用し新たな試みに挑戦したりと、固定費の削減や、企業の発展などの利益に繋げることもできます。

《コミュニケーションの促進》

フリーアドレスは、固定席とは異なり座る席を自由に選択できるため、業務上接点のない従業員同士の距離が近くなり、部署の垣根を超えた交流が期待できるようになります。
普段交流することの無い従業員同士のコミュニケーションが生まれることにより人脈が充実し、部署間の連携がスムーズに行えたり、何気ない会話からアイデアが生まれたりするケースも多く見られます。

 

昨今のパンデミックによって働き方が見直されたことにより、テレワークなどの多様化された働き方が増え、無駄になったスペースとそれに伴うメンバー同士のコミュニケーション不足など、従来のやり方のままでは不便を感じるようになってきました。
そんな不満を効率よく解決することができると、今フリーアドレスが注目されています。

しかし、時代のニーズに合うからと言って、必ずしも全ての企業に恩恵をもたらすわけではなく、中にはフリーアドレス制を導入して業務効率が悪化したというケースもあります。
次項では、なぜフリーアドレスの導入で業務効率が悪くなるのかを解説します。

【フリーアドレス導入失敗の原因、なぜ一度廃止したのか?】

前記のとおり、フリーアドレス導入には魅力的なメリットが挙げられますが、これらのメリットは全てフリーアドレス導入後すぐに得られると期待してはいけません。
慣れた働き方から新しい働き方に変わり、ストレスを感じることによる業務効率の低下、さらには生産性を落としてしまうケースもあります。
フリーアドレスがうまく機能しないのはなぜか、主な失敗の要因と対策を4つ紹介します。

 

1.荷物の管理が難しい

個人で使用する書類や文房具類などは、従来の固定席を設けるスタイルであればデスクの引き出しに収納することができますが、フリーアドレスの場合はデスクをメンバーと共有しており、個人の荷物を収納することができません。
そのため、紛失や盗難などのセキュリティリスクが発生するおそれもあります。

〘対策〙
・可動式収納やロッカーを用意する
・ペーパーレス化を勧める

 

2.コミュニケーション促進に工夫が必要

フリーアドレス導入メリットのひとつに”コミュニケーションの促進”とありますが、これまで接点のなかったメンバー同士の距離が縮まったからと言って、すぐにコミュニケーションが取れるようになるわけではありません。
よくあるケースだと、着席する座席が固定され結局は同じメンバー同士でしか交流しない

〘対策〙
・交流会や勉強会の開催など、会話のきっかけを作る

 

3.集中力の低下

自由でオープンな空間は、周りの話し声や行き交う足音で騒がしくなる傾向があり、人によっては集中できないと感じることもあります。
その結果、ミスが発生したり業務効率が下がったりすることで生産性の低下に繋がります。

〘対策〙
・集中するためのエリアを設ける
・職種や業務に応じたレイアウトにする
・全体的ではなく、部分的にフリーアドレスを導入する

 

4.スムーズに取り継ぎできない

席を自由に移動できるフリーアドレスでは、誰がどこにいるのか把握しにくいという問題があります。
そのため、電話の取次ぎや業務の引き継ぎをスムーズに行うことができず、トラブルの原因になりかねません。

〘対策〙
・取次のルールを決める
・座席予約システムや電話のクラウド化などの外部サービスを利用する

 

IT技術の発展や働き方の多様化に伴い、フリーアドレス導入の需要が高まりつつある半面、上記のような問題が発生するのも確かです。
現場のニーズを正確に判断せずにフリーアドレスを導入してしまった場合、従業員のストレスが溜まり、本来得られるはずのメリットも十分享受できません。

では、現場のニーズがどこにあるのか?フリーアドレスに”向いている企業”と”向いていない企業”に振り分けて次項で解説します。

【フリーアドレスに向いている企業・向いていない企業】

フリーアドレスは従来のオフィススタイルと一変するため、向いている向いていないの差が明確になりやすいです。

《向いている企業》

フリーアドレス導入の恩恵が大きく向いている企業や業種は、主にノートパソコンを使用した業務内容で、ペーパーレスが実現しやすい企業になります。

・在席率が低い
外回りの多い部署やテレワークの普及で、オフィス内の在席率が低ければ低いほど従来のオフィススタイルでは無駄なスペースが目立ってしまいます。
在席率の低い企業、または部署の一部でフリーアドレスを導入することでスペースを有効的に活用することができるようになります。

・ペーパーレス化が進んでいる
フリーアドレス導入の懸念材料のひとつに”荷物の管理”が挙げられますが、IT技術の進歩によって様々な資料がデータ化され、今までデスクに保管されていた大量の書類をパソコン内へ簡単に収納できるようになりました。
ペーパーレス化することで収納のデメリットだけではなく、セキュリティ面の強化も期待できるため、ペーパーレス化を推進している企業はフリーアドレス制に向いているでしょう。

 

《向いていない企業》

逆にフリーアドレスが向いていない企業や業種は、以下の条件に該当する企業になります。

・在席率が高い
フリーアドレス導入の最大のメリットとして「スペースの有効活用」が挙げられますが、在席率が高く余分なスペースが発生しない場合は、フリーアドレス導入の効果は薄いです。

・個人情報や機密情報を扱う
経理や人事、法務、金融業などの個人情報や機密情報を扱う業種や部署では、オープン空間にしてしまうと情報漏洩のリスクが高まってしまいます。
また、ペーパーレス化できていない情報は、分散せず1ヶ所にまとめて厳重に管理する必要があるため、フリーアドレスには向きません。

・環境の変化によるストレスが大きい
従来のオフィススタイルから働き方を一変させるため、変化を好まない方や40代以上の方など長年にわたり働き方が定着した従業員の多い企業では、形式の変更によるストレスが大きく、業務効率の低下に直結する可能性が高いです。

 

この通り、全ての業務内容に適したオフィススタイルではないため、いきなりオフィス全体で始めるのはおすすめしません。
フリーアドレスを導入する際は、従業員の意見を十分に取り入れつつ部分的に導入することで、従業員の満足度を保ちやすくなります。

【フリーアドレスは結局良いの?悪いの?】

フリーアドレスの導入でもたらす影響がどんなものかは一概には言えません。

フリーアドレス導入の効果をかみ砕いて理解してみると、メリットよりもデメリットが目立ってしまうケースがあるのも事実です。

しかし、IT技術の進歩や働き方が多様化してきた現代では、以前にも増してメリットが大きくなったことから、積極的にフリーアドレスを取り入れる企業が増えてきました。

今後、オフィスのレイアウト変更や移転を計画している方は、これを機にフリーアドレスの導入によってオフィスの環境がどのように変化するのか、是非検討してみてください。

 

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