働き方の多様化やテレワークの定着に伴い、ここ数年で働き方の見直しが推進されたこともあり、様々な理由でオフィスの改装や移転を検討している企業が増えてきています。 事務所のレイアウト変更は業務環境に大きく影響し、よく検討される改善方法の一つではありますが、企業により最適なレイアウトが変わるため、悩まれる方は多いのではないでしょうか。 ここでは、レイアウト設計でお悩みの方や、おしゃれで機能的な事務所を目指している方に向けて、事務所レイアウトの概要と成功させるコツ、代表的なパターンを紹介しています。 是非、最後までご一読ください。
事務所レイアウトの目的であり、レイアウトを設計する上で最も重要視されるのが《働きやすさ》です。
しかし、働きやすさとは何か?を具体的に把握している方は多くないかと思います。
ここで言う《働きやすさ》とは、業務を効率化するための「働きやすさ」と、スタッフの意欲を引き出し生産性を上げる「働きがい」をまとめて表したものです。
自社に応じた働きやすさを理解するためにも以下の項目ごとに必要な条件を推考しましょう。
〇企業のコンセプトを明確に
ブランディングを意識し、取引先からの信頼や従業員が誇りを持って働けるなど、目的を掲げた企業のコンセプトを決め、どのように体現するか明確にする必要があります。
〇作業の内容に応じた空間作り
機密性の高い業務ではプライバシーを確保し、創造性を必要とする業務ではクリエイティブな空間を用意するなどの作業内容に応じつつ、設備の位置やスペース・動線などの適切な距離を保つよう心がけましょう。
〇コミュニケーションの頻度の確認
連携が頻繁な部署間を近くに配置したり、様々な部署同士の会談スペースを設けたり、管理職者が全体を気にかけられるようになど、必要に応じたコミュニケーションの頻度を把握することが大事です。
〇役割・機能を持ったスペースの設定
主なワークスペース以外にも会議室・応接室・役員室・リフレッシュスペース・収納スペースなど、必要な役割や機能を持ったスペースを予めピックアップしましょう。
より良い空間作りのためには、レイアウトを設計する前に、ここで紹介した項目以外にも自社で抱えている課題や問題点を明確にすることが大事です。
明確にした課題や問題点を把握出来たら、次に改善を目指したレイアウト計画を作成していきます。
事務所レイアウトは適切な計画で実行できていないと、改善効果を得られないだけでなく新たな課題が生まれる恐れもあります。
レイアウトを設計するにはオフィスの広さや位置関係など、様々な要素を考えなければなりません。
そこで、レイアウト決めの際に必ず立てておきたいのが「ゾーニング計画」「動線計画」「寸法計画」の3つの計画です。
ゾーニングとは、従業員の人数や仕事内容や役割・機能を持ったスペースに合わせて、オフィス内を複数のエリアに分けることを指します。
ゾーニング計画を立てる際は、エリアの区分けだけではなくセキュリティレベルの設定も大切です。
セキュリティレベルの高いエリアは、エントランスや共有部分などの人が頻繁に往来する場所から離したり、不特定多数の人がアクセス出来ないようにしたり等の対策をする必要があります。
建物内で人が移動する経路を線で表したものを”動線”と呼び、動線計画は、適切な動線を確保するために行います。
複数人で利用するオフィスでは、動線が悪いと動作にストレスを感じ業務効率が悪くなるだけでなく、従業員同士のコミュニケーションロスにも繋がりますので、動線の取り方に無駄や不足がないか必ずチェックしましょう。
動線計画を立てる際の考え方としては、人の行き来が最も多い通路を広くし、かつ行き止まりなどで迂回することなくスムーズに全員が移動できることを意識することがポイントです。
寸法計画は、家具・什器・壁との間の通路幅の寸法を基準寸法を基に割り出すのを目的としています。
基準寸法とは、建築基準法・労働安全衛生法・消防法などで定められた安全基準を基に、作業の快適性や心理的ストレスを考慮し設定された寸法の”基準”で、快適な環境作りには欠かせない項目のひとつです。
基本的な寸法基準は以下のようになります。
〇通路幅の基準寸法
・ひとりが通行する時 60㎝~
・ふたりがすれ違う時 120㎝~
・車椅子が通行する時 75㎝~
・横向きになった時 45㎝~
〇メイン通路幅の基準寸法
・ひとりが通行する時 80㎝~
・ふたりがすれ違う時 160㎝~
・車椅子が通行する時 90㎝~
〇デスク周りの基準寸法
・横並び同士のデスク幅 90㎝~
・背面同士のデスク幅 180㎝~
・デスクサイドと壁の幅 120㎝~
・デスク背面と壁の幅 140㎝~
・デスクとコピー機の幅 120㎝~
・デスクと書庫の幅 140㎝~
ゾーニング・動線・寸法計画は全て密接に関係しているため、各計画ごとに考えるのではなく、全体を見通して計画を立てることが大事です。
オフィスの広さが広くなればなるほど、あるいは部屋の数が多くなるほど全体を見通した計画は難しくなり、適切な空間を作ることが難しくなるでしょう。
少しでもレイアウト作成に困難を感じたら、迷わず専門業者に依頼することをおすすめします。
次に、事務所のレイアウトでよく見られる代表的なパターンを6つ紹介します。
企業ごとにレイアウトのニーズや組み合わせは異なりますが、おおまかなパターンに分けることができ、パターンごとに特徴があります。
1.アイランド型
複数の座席が対面して並べられる形で島をなしており、最もスタンダードでコミュニケーションも取りやすく、配線も通しやすいのがアイランド型です。
部署ごとに島を作ることで、他から来た人も訪問する部署を認識しやすく、無駄のないレイアウトになります。
《メリット》
・伝達や対話などの交流がスムーズ
・配線、機器の設置が容易
《デメリット》
・プライバシー確保に不向き
2.並列型
別名「スクール型」とも呼ばれ、座席を全員が同じ方を向く形で配置するパターンです。
向かいの視線を気にすることなく業務が進められるため、集中力の必要な職種で多く採用されています。
また、管理職を後方に配置することで全体の状況を把握できる環境を作ることもできます。
《メリット》
・特定の業務効率が良い
・全体の業務管理がしやすい
《デメリット》
・管理や監視の色合いが強く、従業員の負担になりやすい
3.背面型
対面してデスクを並べるアイランド型とは逆に、背を向き合うよう配置することにより互いの視線を遮断するため、並列型よりも他者の視線を気にすることなく作業に集中することができます。
一見コミュニケーションが取りづらく感じますが、互いに後ろを向くことで気軽にミーティングをすることも可能です。
《メリット》
・集中しやすい環境を作れる
・スペース効率が良い
《デメリット》
・周囲以外とのコミュニケーションが取りづらい
4.クラスター型
左右対向型レイアウトとも呼ばれ、その名前の通り左右または前後に向きが異なる型で座席を設置するため、他のレイアウトの良いとこ取りが出来るのが最大の特徴です。
スペースを十分に取ることができ、個々で最適な作業スペースにアレンジすることができます。
《メリット》
・コミュニケーションとプライバシーの両立が可能
・個々に最適な作業スペースを実現しやすい
《デメリット》
・スペース効率が悪い
5.ブース型
パーテーションやパネルなどを用いて個人専用の空間を作るレイアウト方法です。
周囲の視線や音が届きにくく、複数あるパターンの内で最もプライバシーが守られ、クリエイティブ職や専門職などソロワーク中心の職業に向いています。
《メリット》
・機密性が高い
・一人で集中できる
《デメリット》
・コミュニケーションが取りにくい
・多少のスペース確保が必要
6.フリーアドレス型
個々の座席を設けることなく、フロアにフリーアドレスデスク(長机)や椅子などを設置し、自由に席を選択して臨機応変に働くスタイルのレイアウトです。
様々なチームごとで動きやすくなり、省スペース化も狙え、最も無駄のないパターンになります。
《メリット》
・部署を超えたコミュニケーションが容易
・スペース効率が良く、コストも抑えやすい
《デメリット》
・書類や備品の管理が大変
オフィスをレイアウトする際は、ひとつのパターンに拘らずに業務の内容ごとに複数のパターンを組み合わせることがポイントです。
レイアウトの設計をする際に、忘れてはいけないのがエントランスです。
業務環境に直接影響を及ぼすことは少ないですが、「企業の顔」となるエントランスを改善することで印象が変わり信頼に繋がるだけではなく、場合によってはオフィスそのものが広告塔にもなり得ます。
企業のイメージが良ければ対外的信用が増すだけではなく、そこで働く従業員のモチベーション維持にも繋がるため、エントランスのレイアウト設計に最も力を入れる企業は少なくないです。
オフィスのレイアウトは頻繁に変えるものではなく、長く使っていく中でストレスのない環境を用意することが大事です。
ここまで、オフィスレイアウトの概要を紹介しましたが、それでも自身でレイアウト計画を作成するには専門的な知識を要し、なかなかハードルが高いと感じる事でしょう。
当社では、豊富な経験を生かしたレイアウト設計だけでなく、設計したレイアウトを実現するための内装工事も担っています。
設計から工事までワンストップで行うため、設計業者と内装業者の認識違いにより、管理が行届かずに完成イメージにズレが・・・なんてことがないよう、専属の担当営業がひとつの窓口となり最後まで責任をもって、より理想に近いレイアウトの実現をお手伝いしています。
レイアウト設計を検討している方や現在のオフィスに使いづらさを感じている方は、是非一度ご相談くださいませ。