テレワークやハイブリッド勤務が浸透する中、オフィスの在り方も進化しています。 単純な業務スペースとしてだけでなく、従業員が効率よく働き、快適に過ごせる空間を整えることが求められています。 その鍵となるのが「間仕切りの工夫」です。 既存の間仕切り変更を検討している方へ向けて、注意点も含めて詳しく解説しています。是非、最後までご覧ください。
オフィス環境は、社員の生産性や働きやすさに多大な影響を与えます。
その中でも間仕切りの配置やデザインは、コミュニケーション、プライバシー、集中力などに直結する非常に重要な要素です。
オープンなスペースと個室がそれぞれ利点を持つように、オフィスレイアウトの変更によって、働きやすい環境づくりが可能になります。
間仕切りの変更を行う際に気を付けるべきことやポイントを見ていきましょう。
オフィスの間仕切り変更には、様々な目的があり、間仕切り変更の際には変更の目的を明らかにすることが重要となります。例えば、
・部署ごとの区分けを明確にする
・コミュニケーションの機会を増やす
・プライバシーの保護
・騒音対策
などが挙げられます。
間仕切りの変更に着手する前に何を達成したいのかを明確にし、その目的に沿ったデザインを考えることが重要です。
社員へヒアリングをしたり、全体へアンケートを行うなど、社員のニーズと計画にギャップが生まれないよう、慎重に進めていきましょう。
次に、オフィスの間仕切り変更にあたり、考慮すべきポイントをいくつかご紹介します。
・オープンなスペースとプライベートエリアのバランスを考慮する
完全なオープンオフィスは、情報の共有やチーム間のコミュニケーションには有効ですが、集中力が必要な業務には不向きです。
逆に、区切られたスペースが多すぎると、チームの一体感が薄れてしまうリスクもあります。
間仕切りの変更を行う際には、オープンスペースとプライベートエリアを適切に配置し、各社員が自由に働き方を選べるような柔軟なレイアウトが理想です。
・透明性と遮音性を考慮した間仕切り素材の選定を行う
間仕切りの素材選びも、オフィス環境に大きな影響を与えます。
ガラスやアクリルなどの透明素材を使うと視覚的な透明感が生まれ、スペースが広く感じられますが、遮音効果が低い、プライバシーが守られないなどのデメリットもあります。
また、遮音効果を持つ素材を使えば、会議の内容や電話の声が外部に漏れにくくなり、集中力が高まりますが、空間が狭く感じる、空調や照明の考慮が必要などのデメリットもあります。
目的に応じて素材を組み合わせ、快適な環境を整えることが重要です。
・フレキシブルな間仕切りで変化に対応
現代のオフィスでは、プロジェクトやチーム構成の変化に迅速に対応する必要があります。
そのため、移動が容易な可動式のローパーティションや、レイアウト変更がしやすいスライディングウォールなどといった間仕切りを採用することで、柔軟に状況に対応できるオフィスを構築することが可能です。
必要に応じてスペースを再構築できるような間仕切りは、企業にとっての大きなメリットになります。
間仕切りを変更する際、注意しなければならないポイントをご紹介します。
・オフィスの動線確保が出来ているか
間仕切り変更によってオフィス内の動線が遮られると、移動がしづらくなり、緊急時の避難経路にも影響を及ぼします。
通路や非常口がしっかりと確保されているか、設計段階で確認することが必要です。
また、消防法や建築基準法に準拠して、緊急時の安全性を確保することも忘れてはなりません。
・照明や空調と連動した間仕切りの配置
オフィスの間仕切りを変更する際には、照明や空調の配置も考慮する必要があります。
間仕切りによって光が遮られると、暗いスペースが生まれたり、空調の風がうまく届かなくなったりしてしまうことも。
照明や空調と連動させて間仕切りを設置することで、快適な作業環境を維持し、エネルギー効率も向上させることができます。
間仕切りの配置により、オフィス内をゾーンごとに区分けすることを、ゾーニングと呼びます。
快適なオフィス環境を整えるために、用途に合わせたゾーニングを考慮することも非常に重要です。
たとえば
・集中ゾーン
集中して業務を行うためのスペース
・コミュニケーションゾーン
社員同士がコミュニケーションを取り、意見を交わしあうためのスペース
・リラクゼーションゾーン
昼食を取ったり、リフレッシュをするためのスペース
などの区分けです。
各ゾーンを用途に応じて設定することで、社員の業務効率が上がり、リラックスできる空間が生まれます。
ゾーニングは、業務スタイルに合った空間利用を実現するための有効な方法です。
実際に間仕切りを変更したいと思ったら、どのように計画を進めていけばよいのでしょうか?
順を追って記載いたしますので、是非参考にしてください。
①現状のオフィスレイアウト分析
まず、現在のオフィスレイアウトの分析です。
動線、執務スペース、会議室やリフレッシュエリアなど、各スペースの利用状況を確認し、どのような配置にすれば業務効率が上がるかを検討します。
この分析をもとに、変更後のレイアウト案を考えていきます。
②間仕切りのタイプとレイアウト案の作成
分析の結果をもとに、間仕切りのタイプ(パーテーション、可動式ローパーテーション、造作壁など)や什器も含めた配置プランを検討します。
エリアごとの役割に合わせた間仕切りを選定し、オープンスペース、プライバシーエリア、ミーティングスペースなど、使い方に適したゾーニングを考慮したレイアウト案を作成します。
③予算とスケジュールの計画
レイアウト案が固まったら、予算とスケジュールを設定します。
間仕切りの変更にかかる資材費、施工費、家具やインテリアの費用などの見積もりを取得し、全体の予算を計画します。
また、業務に影響が出ないように、施工期間や作業時間も事前に調整し、従業員に周知しておくことも大切です。
④ 施工業者の選定
次に、信頼できる施工業者を選定します。施工業者を選ぶ際は、実績や評判、コスト、サポート内容を比較し、自社のニーズに最も合った業者を選ぶようにしましょう。
打ち合わせを通じて、業者としっかりとイメージを共有し、詳細な施工計画を立てます。
⑤施工と進捗管理
施工が始まったら、工事が計画通りに進んでいるか、進捗を管理します。
施工中に問題が発生した場合は迅速に対応し、計画変更が必要になった場合は業者と密に連携して調整を行います。
また、施工エリアの安全管理も徹底し、社員の業務に影響が出ないよう注意を払いましょう。
⑥ 完成後の確認と最終チェック
施工が完了したら、最終確認を行います。
設計通りに間仕切りが設置され、図面通りに配置になっているかをチェックし、問題があれば速やかに修正してもらいます。
施工業者との引き渡し確認を経て、すべてが完了となります。
オフィス内の間仕切りを変更・再設計するには、当然ながら一定のコストが発生します。
工事費用はもちろん、レイアウトの見直しや移動に伴う業務の一時的な中断など、目に見える費用と見えないコストの両方がかかるケースも少なくありません。
そのため、「本当に必要な投資なのか」と慎重に判断する企業も多いのが実情です。
しかしながら、間仕切りの変更によって得られる効果は、単なるレイアウト改善にとどまりません。
例えば、集中しやすい執務スペースを確保することで、社員一人ひとりの業務効率や生産性が大きく向上します。
また、リフレッシュエリアやコミュニケーションスペースを適切に設けることで、社員間の交流が活発になり、チームワークの向上や社内の活性化にもつながります。
こうした取り組みは、結果として離職率の低下や人材の定着率アップといった目に見える成果を生むことも少なくありません。
さらに、働きやすい環境を整備することは、従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)の向上だけでなく、企業のブランドイメージや対外的な評価を高めることにも寄与します。
現代の労働市場では、職場環境の良し悪しが採用力にも直結するため、優秀な人材の確保・採用にもプラスに作用するでしょう。
このように、間仕切りの変更は単なるコストではなく、企業の生産性や人材力を高めるための戦略的な「投資」と考えることが重要です。
短期的な費用に目を奪われるのではなく、長期的な視点でコストパフォーマンスを意識しながら、オフィスのポテンシャルを最大限に引き出す施策として捉えることが、これからの企業経営に求められています。
オフィスの間仕切り変更は、単なるデザインの一部ではなく、社員の働き方を支える基盤となるものです。
目的に沿った間仕切りの変更を行い、社員が生産性と快適さを感じられるオフィス環境を実現することが、企業の成長にとって重要です。
また実行の際は慎重な計画と配慮が必要になります。
社員のニーズを把握し、フレキシブルかつ快適な環境を整えることで、業務効率と社員満足度を高める効果が期待できます。
オフィス環境を改善するための投資として、最適な間仕切り変更を検討しましょう。