オフィスのクロス(壁紙)は、従業員の生産性や職場の雰囲気に直接影響を与えるため、非常に重要な役割を担っています。 老朽化して剥がれてしまったり汚れてしまったりしたクロスは、従業員のモチベーションを下げている可能性があります。 この記事では、クロス選びに必要な基礎知識から、実際の貼り換えの手順と注意点、さらにクロス以外の選択肢まで詳しく解説していきます。 クロスの貼り換えを検討されている方の参考になれば幸いです。
クロスは、オフィスの雰囲気を決定づける重要な要素の一つです。
清潔感のあるクロスは従業員に快適な環境を提供し、集中力を高めたりリラックス効果を与えたりします。
また、綺麗なクロスは来客に対しても強い印象を与えられます。
さらに、機能性を重視して防汚・防火・抗菌効果があるクロスを選ぶことで、衛生管理や安全性も向上させることができるでしょう。
・ビニールクロス
ポリ塩化ビニルを主原料とする壁紙で、一般的なオフィスでは最も使用されている素材です。
安価なものが多く種類も豊富で、耐久性が高く汚れに強いためメンテナンスがしやすいです。
・布クロス
レーヨン、ポリエステルなどの合成繊維、絹や麻などの自然繊維を原料とした壁紙です。
高級感があり、来客用エリアや役員室などに適していますが、汚れが付きやすいためメンテナンスがやや難しい点が欠点です。
・珪藻土クロス
下地の上に珪藻土を塗り付けた壁紙です。
調湿効果があり、湿気がこもりやすい場所に適しています。特に、空気清浄機能や脱臭効果が求められるエリアで重宝されます。
施工方法が少し特殊で、ビニールクロスよりも施工費が高くなる傾向にあります。
クロスのカラー選びは非常に重要で、与える印象ががらりと変わる要素です。
色別に、その効果をご紹介します。
ホワイト系・・・
清潔感や明るさを演出できる最もポピュラーな色で、空間を広く見せる効果があります。
どんなデザインにも自然に馴染むため、オフィス全体をスッキリとした印象にまとめたい場合に適しています。
ナチュラル系の木目やグレーとも相性が良く、コーディネートの自由度が高いのも魅力です。
ブルー系・・・
心を穏やかにし、集中力を高める効果があります。
冷静さや知的な印象を与えるため、個人作業の多いスペースや会議室に適しています。
また、クールで清潔感のあるイメージから、医療・IT系のオフィスでも多く用いられています。
グリーン系・・・
観葉植物にも見られる自然の色で、安心感や癒しをもたらします。
目にも優しく、ストレスを軽減する効果があるとされており、長時間過ごす執務スペースや休憩エリアに適したカラーです。
オフィス全体の空気を和らげるアクセントとしても効果的です。
グレー系・・・
落ち着いた印象を与える中立的なカラーで、洗練されたモダンな雰囲気を演出できます。
単調になりがちな空間にも程よい陰影を加えられるため、デザイン性の高いオフィスに仕上げたい場合にもおすすめです。
プロフェッショナルな印象を重視する場面にも最適です。
イエロー・オレンジ系・・・
明るくポジティブなエネルギーを感じさせるカラーで、場の雰囲気を一気に華やかにします。
特にアイデア発想やコミュニケーションが求められるクリエイティブな業務エリアにおいて、活力を与えてくれる色です。
アクセントとして部分的に取り入れるのも効果的です。
・エントランス
来客が最初に訪れる場所であり、企業の「顔」となる空間です。
第一印象を大切に、会社のブランドイメージやコンセプトを反映させたカラーやデザインを採用しましょう。
企業のロゴカラーやシンボルカラーを取り入れることで、記憶に残る空間演出が可能です。
・会議室
打ち合わせや商談など、来客と長く接する機会が多い場所です。
落ち着いた色味のクロスを用いて、安心感や信頼感を与える空間に仕上げることが重要です。
ブルーやグレーなどのトーンは集中力を促進し、議論や意思決定をサポートします。高級感のある素材感を選ぶことで、空間の質も引き上がります。
・執務エリア
日々多くの時間を過ごす場所であり、社員の生産性や快適性に直結します。
ホワイトやベージュなどの明るくシンプルな色をベースにしつつ、単調になりすぎないよう一面だけアクセントカラーを取り入れると、空間にメリハリが生まれます。
業務に集中しやすく、かつ開放感を感じられる設計が理想です。
・休憩スペース
業務の合間にリフレッシュするためのエリアでは、リラックス効果のあるカラーが適しています。
グリーン系や木目調のクロスを取り入れることで、自然の温もりを感じる穏やかな雰囲気を演出できます。
オフィス全体の緊張感を和らげる“癒しの場”として、色選びが大きな役割を果たします。
1.計画の立案
貼り換えるクロスの箇所や予算、工期を確認し、改装の計画を立てます。
2.業者選定と打ち合わせ
クロス貼り換えの実績が豊富な業者を選定し、素材や色、機能性について打ち合わせを行います。
工期の希望や希望の予算にあった業者を選びましょう。
3.現状のクロスの除去
既存のクロスを剥がし、下地の状態を整えます。下地に劣化や破損がある場合は補修が必要です。
4.新しいクロスの貼り付け
下地が整ったら、計画通りに新しいクロスを貼り付けます。
5.仕上げとチェック
仕上がりを確認し、気になる部分があれば調整します。
貼ったばかりのクロスは、中の空気が抜けきらず少し浮いている箇所がある場合があります。
3日ほど様子を見ると、落ち着くことがほとんどです。
業者にクロス工事を依頼する際の注意点を下記記事でご紹介しています。併せてご覧ください。
クロス工事をプロに依頼する際の費用や見積もりのポイントを暴露!
クロスの貼り換えの際、考慮したほうが良い点は下記です。
・耐久性とメンテナンス性の確認
オフィスでは日々多くの人が行き交い、壁面も意外と触れられることが多いため、使用頻度の高い箇所には特に注意が必要です。
破れやすい素材を選んでしまうと、すぐに劣化や傷みが目立ってしまいます。
長期間美しい状態を保つには、傷がつきにくく、汚れが拭き取りやすい素材を選ぶことが重要です。
清掃が簡単で、日常的なメンテナンスが負担にならないクロスを選ぶと、業務への影響も少なく済みます。
・衛生管理のしやすさ
働く人の健康や快適性を考えるうえで、オフィス内の清潔さは欠かせません。
最近では、抗菌・防臭・防汚といった衛生機能を備えたクロスも多く登場しており、これらを取り入れることで空間を清潔に保ちやすくなります。
特に多くの人が利用する共用スペースや、衛生面に配慮が必要な場所では、こうした機能性クロスを選ぶことで、日々の衛生管理の負担を軽減し、快適な空間づくりに貢献できます。
・施工中の安全対策
クロスの貼り替えや補修作業は、業務を行いながら進める場合も多いため、作業中の安全管理は非常に重要です。
施工エリアを明確に区切り、他の業務エリアとしっかり分離することで、社員の動線や業務効率に支障をきたさないようにしましょう。
また、作業音や粉塵への配慮も必要です。施工業者との事前の調整や工程管理を徹底することで、安全かつスムーズにリニューアルを進めることができます。
クロスを貼る以外にも、壁の仕上げには様々な選択肢があります。
用途や希望のデザインにあわせて素材を選定しましょう。
◆塗装
壁の塗装も選択肢の一つです。耐久性が高く、オリジナルの色を作ることもできます。
クロスとはまた違う質感も魅力です。
◆パネル
石材や木材のパネルを壁に貼ることで、高級感やナチュラル感を演出できます。
耐久性がありメンテナンスも比較的容易です。
◆タペストリーや装飾パネル
クロスの上にタペストリーや布を掛けたり、アート作品などを飾ったりすることで、より個性的な空間を演出できます。
また、クロスを貼り換える際は床との相性も大切です。
選定したクロスのカラーに併せて床のイメージを変えると、より統一感のある洗練された印象のオフィスになるでしょう。
床工事については下記の記事で詳しくご紹介しています。
オフィスのクロスは、デザイン性と機能性の両面で慎重に選ぶ必要があります。
場所ごとに適したクロスを選ぶことで、働きやすく清潔感のある空間を実現できます。
また、貼り換えの際は事前に計画を立て、耐久性やメンテナンス性も考慮した素材を選ぶことがポイントです。
自社のイメージや従業員のニーズに合った快適な空間づくりを目指しましょう。