オフィス環境においてコミュニケーションは重要な要素ですが、忙しさによる時間の制約や異なる部署との距離的な制約などの様々な要因により、他者とのコミュニケーションを後回しにしてしまいがちではないでしょうか。 直接対話やコミュニケーションを取る機会を疎かにしてしまうと、情報共有や意思疎通がスムーズに行われないことがあるため、効果的なコミュニケーションツールやイベントの導入を検討する企業が増えています。 しかし、ツールやイベントを活用するには、ある程度のコストを要するため、気軽に導入することも難しいでしょう。 ここでは、ほとんどのオフィスで既に存在する空間を活用してできるコミュニケーションの促進方法「マグネットスペース」をご紹介しています。 コミュニケーションの難しさに直面することが増えたと感じた方は是非ご参考ください。
マグネットスペースとは、言葉の通り磁石のように人が引き寄せられる空間を指します。
時間や場所を決めて計画的に集まるのではなく、「各々の自由な意思によって人々が集まり、自然と交流やコミュニケーションが生まれる空間」であることがポイントです。
一般的には人が集まりやすいオフィスの一部や共有スペースを活用し、快適な環境や魅力的な設備を用いて、人々の交流や情報共有を活性化させる場として重要な役割を果たします。
人々の交流や情報共有を活性化させる場と聞くと、仰々しい空間と感じる方もいるかと思いますが、実際にはどこのオフィスにもあるようなちょっとした空間がマグネットスペースになりやすく、気軽に取り入れることができるのが特徴です。
マグネットスペースの代表的な例としては、以下のようなものがあります。
・給湯室
・コピー機周辺
・自動販売機周辺
・掲示板
・休憩スペース
・喫煙所
これらの共通点は、所属している部署と関係なく様々な人が共有して利用する設備ということです。
多くの人が何気なく立ち寄る空間がマグネットスペースになりやすいと言えるでしょう。
マグネットスペースを用いてコミュニケーションを促進することで、主に4つのメリットを得ることができます。
①社員満足度の向上
マグネットスペースは社員同士の交流を促し、コミュニケーションの場を提供します。社員同士の関係性やチームワークが向上し、働きやすい環境を作り出すことに繋がります。
②知識の共有
マグネットスペースでは、さまざまなバックグラウンドやスキルを持つ人々が集まります。そのため、知識や経験の共有が行われ、新たな学びや成長の機会が生まれます。
③ネットワーキング
異なる部署やチームのメンバーが集まる場所なので、人脈の広がりにも繋がります。他の社員とのつながりを築くことで、新しいプロジェクトやチームへの参加の機会が増えるかもしれません。
④アイデアの発展
異なるバックグラウンドや視点を持つ人々が出会います。そのため、新たなアイデアやクリエイティブな解決策が生まれやすくなります。他の社員との交流によって、自分のアイデアを発展させることも。
これらのメリットからわかるように、マグネットスペースはオフィス内のコミュニケーションや情報共有の重要な場所です。
組織全体の効率性や社員の満足度を向上させるために、適切に設計・活用されることが重要です。
多くのメリットが得られる一方、マグネットスペースにはいくつかのデメリットも存在します。
・情報漏洩のリスク
マグネットスペースでは、様々な情報が行き交うため、設置場所によっては来訪者に会話が漏れてしまい、情報漏洩に繋がる恐れがあります。
そのため、マグネットスペースとなる空間付近の動線に配慮したレイアウトにするなど、情報漏洩や個人情報の取扱いに注意する必要があります。
・管理の手間
マグネットスペースは多くの人が利用するため、清潔さや整理整頓の維持が難しい場合があります。
特にコーヒーメーカーやコピー機などが設置されているマグネットスペースでは、備品の補充や発注、清掃などのメンテナンスが頻繁に発生します。
外部サービスを活用することで管理の手間を省くこともできるため、マグネットスペースを設ける際は、事前に管理方法について検討するといいでしょう。
・グループ間の格差
マグネットスペースは異なる部署やチームの人々が集まる場所であるため、情報や関係性の偏りが生じる可能性があります。
一部のグループが他のグループよりも優位に情報やネットワーキングの機会を得ることがあるため、組織内の不均衡が生じることがあります。
これらのデメリットは、設計や状況に応じた継続的な改善によって軽減することができるため、適切な管理によってマグネットスペースの効果を最大限に発揮することができます。
マグネットスペースは、必ずしもオフィス内で自然に発生した空間である必要はなく、意図的に作り出すこともできます。
マグネットスペース作りをする上で特に意識したいポイントは「利用頻度」と「滞在時間」の2点です。
コミュニケーションを促すためには、多くの人が頻繁に利用するという条件だけでは成立しません。
特定のエリアに一定の時間滞在することで初めてコミュニケーションが生まれます。
また、反対に一定の滞在時間があっても、利用者が他にいないのではコミュニケーションの取りようがありません。
つまり、マグネットスペースを作るにあたって最も意識しなくてはいけないのは、利用頻度と滞在時間のバランスになります。
既にマグネットスペースと化している場所がある場合は、利用頻度と滞在時間のバランスを考慮して、利用頻度が少ない場合はコーヒーメーカーを設置したり、滞在時間が短い場合は椅子やテーブルを設置したりすることで効果を強化することができます。
様々な人材が活躍する企業では、柔軟なコミュニケーションや迅速なフィードバックが企業の発展へと繋がることが多く、リモートワークやフレックス制などの多様な働き方が増えた現代では、より社内のコミュニケーションの円滑さが求められるようになりました。
会議などのフォーマルなコミュニケーションだけでは賄いきれない、カジュアルな情報交換の場を提供するのに、インフォーマルなコミュニケーションの場であるマグネットスペースは最も有効な手段のひとつになり得るでしょう。
弊社では、豊富な実績を基に各企業の特徴とニーズに沿ったレイアウトの提案を得意としています。
今回の記事を機に、空いたスペースを有効に活用してみようとご検討されましたら、是非お気軽にお問い合わせください。